両立支援
育児介護休業法が改正になります

国は、男女とも仕事と育児・介護を両立できるよう、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や介護離職防止のための雇用環境整備、個別周知・意向確認の義務化など、令和7年4月1日から段階的に改正をします。
今回は、そのポイントについて解説します。
「育児・介護休業法」とは?
「育児・介護休業法」とは、仕事と介護を行う労働者の福祉に関する法律です。育児や介護を行う人を支援するために定められました。
この法律で定められている代表的な5制度は、「育児休業」「産後パパ産休」「子の看護休暇」「介護休業」「介護休暇」です。
5制度を解説
①育児休業
子どもが1歳に達するまでの期間、子ども1人につき原則2回休業可能(保育所に入所できないなどの場合は、最長2歳まで)。
【パパ・ママ育休プラス】
父母ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2か月に達するまでの間の1年間休業可能となる。
②産後パパ産休(出生時育児休業)令和4年10月1日施行
子どもの生後8週間以内に、父親が2回に分けて通算4週間の育休を取得できる。
③子の看護休暇
小学校就学前の子どものいる親が有給休暇とは別途取得できる休暇制度。年間5日取得可能(対象の子どもが2名以上の場合は10日)だったが、今回の改正で対象を小学3年生までと拡大予定。
④介護休業
要介護状態の家族の介護・世話のために利用できる休業。対象家族1人につき通算93日、範囲内で3回まで分割可能。(原則2週間前までに申出が必要)
⑤介護休暇
要介護状態の家族の介護・世話のために対象家族1人につき1年度に5日まで(対象家族が複数の場合1年に10日)休暇が取得できる。
休暇当日の申出も可能で、突発的に休日取得でき、時間単位で取得できるのが特徴。

改正のポイント
解説のポイントをまとめてご紹介します。
令和7年(2025)年4月に施行される内容
①子の介護等休暇の見直し(就業規則等の見直し ★義務)
対象者が拡大され、未就学児から小学校3年生まで拡充されます。
また取得事由に
・感染症に伴う学級閉鎖
・入園(入学式)卒園式
が加わりました。
②所定労働の制限対象拡大
所定外労働の制限の対象が拡大され、小学校就学前の子を養育する労働者が対象となります。
③短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置に、テレワークが追加されました(就業規則等の見直し ★義務)
④3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるよう措置を講じることが事業主に努力義務化されます。
⑤育児休業取得状況の公表義務の適用が拡大し、従業員数1,000人超の企業から、従業員数300名超の企業が対象となります。(義務)
⑥介護休暇を取得できる労働者の要件が緩和され、労使協定による継続雇用期間が6か月未満を除外する規定が廃止されました(★義務)
⑦介護離職防止のための雇用環境整備 (★義務)
事業主は、以下の4つから措置を講じなくてはなりません
・介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
・介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口の設置)
・自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
・自社労働者への介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知
⓼介護離職防止のための個別の周知・意向確認等(★義務)
(1)介護に直面した旨を申し出た労働者に対する個別の周知
(2)介護に直面する前の早い段階(40歳等)でmp情報提供
⑨介護のためのテレワーク導入 (就業規則の見直し ★努力義務)
以上が令和7年4月1日までの改正になります。
令和7年(2025)10月1日から施行される内容
⑩柔軟な働き方を実現するための措置等(就業規則の見直し ★義務)
(1)育児期の柔軟な働き方を実現するための措置
事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関して、以下5つの選択して講ずべき措置の中から、2つ以上の措置を選択して講ずる必要があります。
・労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができます。
・事業主が講ずる措置を選択する際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。
(2)柔軟な働き方を実現するための措置の個別の周知・意向確認3歳未満の歳未満の子を養育する労働者に対して、子が3歳になるまでの適切な時期に、事業主は柔軟な働き方を実現
するための措置として(1)で選択した制度(対象措置)に関する以下の事項の周知と制度利用の意向の確認を、
個別に行わなければなりません。
※ 利用を控えさせるような個別周知と意向確認は認められません。
⑪仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮(★義務)
(1)妊娠・出産等の申請時と子が3歳になる前の個別の意向聴取
事業主は、労働者が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た時と、労働者の子が3歳になるまでの適切な時期に、子や各家庭の事情に応じた仕事と育児の両立に関する以下の事項について、労働者の意向を個別に聴取しなければなりません。
(2)聴取した労働者の意向についての配慮
事業主は、(1)により聴取した労働者の仕事と育児の両立に関する意向について、自社の状況に応じて配慮しなければなりません。
出典:厚生労働省 育児・介護休業法 改正のポイントのご案内
令和7(2025)年4月1日から段階的に施行

新ルールへの対応を講じることは、日々の業務に追われている人事ご担当者様や関連部署の社員の方のご負担が大きいと思います。しかし、柔軟な働き方の措置や育児休業の取得の状況の公表、介護支援制度の整備など、具体的に対応策を講じることは、人材流失の予防、両立支援につながります。
適切な対応を行うことで、労働者の働きやすさは向上し、ワークライフバランスも向上するでしょう。
企業の更なる成長のため、確実に実現していきましょう。
筆者:パソナセーフティネット産業カウンセラー、公認心理師