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【自殺予防コラム】「過労死等防止対策白書」(2021年版)調査結果より

2021/10/27

政府は10月26日、過労死・過労自殺の現状や、国が進める防止対策をまとめた2021年版「過労死等防止対策白書」を閣議決定しました。


「過労死等防止対策白書」(2021年版)
調査
によると、2012~17年度に労災認定された過労自殺者497人のうち半数が、自殺の原因となるうつ病などの精神疾患発症から6日以内に死亡していたことがわかりました。

過労自殺の労災認定にあたっては、関係者の聴取や記録資料などで事実関係を確認した上で、精神科医らが協議し、いつ、どのような原因で発症したかなどを検討しています。

今回の白書では、12年度からの6年間に、うつ病などの精神疾患で労災認定された自殺者497人(男性479人、女性18人)を分析。発症から死亡までの日数は「6日以下」が235人(47%)で最も多く、「7~29日」が93人(19%)、「30~89日」が75人(15%)でした。
自殺前に「仕事内容、仕事量の大きな変化」があったケースが177件、次いで「2週間以上の連続勤務」が109件、「上司とのトラブル」が92件、「いじめ、暴行」が60件。労働時間についてみると、「恒常的な長時間労働」が201件で、1か月間の残業が160時間以上の「極度の長時間労働」が88件に上っています。

発症時の年齢は、40歳代が最多の163人、30歳代が129人で、働き盛りの世代が半数超を占めており、全体の6割超にあたる318人が精神科など疾患に関する医療機関を受診しておらず、特に「極度の長時間労働」だった自殺者88人は、4分の3にあたる67人が受診していなかったということです。

 

 

自殺に至るまでの変化については、管理監督者が把握できたであろう「仕事内容、仕事量の大きな変化」「2週間以上の連続勤務」が挙げられました。
一部の従業員に対し、過重な負荷が掛かっている際には、上司や同僚のサポートが求められます。健康管理を本人任せにせず、変化が見て取れた際には声掛けを行い、必要に応じて相談を行い、業務調整や休養指示などの措置を速やかに講じ増悪を未然に予防しなくてはなりません。

 

 

恒常的な長時間労働や極度の長時間労働は、身体の一部である脳を著しく疲弊させてしまいます。労働時間が長くなると、当然、睡眠時間は削られ、睡眠による心身の回復が見込めなくなります。食欲に影響を与え、日々の生活のリズムにも変化が生じてしまいます。
脳の疲労は、判断力、集中力、決断力等に影響を与えるため、適切なタイミングで助けを求めることができなくなることもあります。
極度の長時間労働だった88人のうち、67人の方が医療に助けを求めず、亡くなっていたことは大変残念なことです。
このような事態を予防するためにも、管理監督者、経営者は長時間労働の予防に努め、適切な労働時間の管理をしなくてはなりません。
また、長時間労働者が発生したときには、速やかに産業医面接に繋ぐなどの措置を取り、安全配慮義務を順守しましょう。

「上司とのトラブル」、「いじめ、暴行」「顧客や取引先からのクレーム」などの人間関係の摩擦は心理的なストレスとなり、図2-1-17にも示されるように自殺因子になることがあります。
また、「いじめ、暴行」「達成困難なノルマ」はパワーハラスメントの6類型の「精神的な攻撃」「個の侵害」「過大な要求」に該当することがありますので、事業主にはハラスメント対策が求められます。
パワーハラスメントに関しては、2019年に労働施策総合推進法が成立し、2020年6月から大企業に、次いで2020年4月からは中小企業においても施行されます。
パワハラ防止措置は事業主の義務となり、履行確保を行わなければ助言、指導、勧告を受けることになります。
自死に至る不幸な結果を予防するためにも事業主は「パワハラ防止法」の指針を踏まえた以下の対策を講じる義務があります。

 

パワハラ防止措置義務の内容


・事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

・就業規則、パンフレット、社内報、社内ホームページ等で周知・啓発
・研修、講習等の実施
・相談・苦情に応じ、適切に対応するための体制整備
・相談窓口の設置、相談窓口の担当者が適切に対応できるための体制作り
・事後の迅速かつ適切な対応
・プライバシー保護のための適切な措置
・解雇その他不利益な取扱いの禁止

 

ハラスメント対策は、離職予防、定着支援、生産性の向上、心理的安全性、愛社精神、多様性など内包していますので、対策をしっかり構じ、働きやすい職場つくりを目指しましょう。また、近年では「顧客や取引先からクレームを受けた」といった「カスタマーハラスメント」対策も、厚労省は「顧客等からの著しい迷惑行為に関し、雇用管理上の配慮として事業主が行うことが 望ましい」とし、企業向けマニュアルの作成を予定しています。

よろしければこちらの記事もご覧ください:
【HRコラム】ハラスメントセミナーを開催しました!

 



『過労死弁護団全国連絡会議幹事長の玉木一成弁護士は「会話や笑顔が減り、睡眠障害や食欲不振などの症状がある時は要注意で、上司や同僚、家族らは変化を見逃さないようにしたい。経営者や管理職が労働時間を適切に管理し、過重な労働を防がなければならない」と話している。』(2021/10/25 06:49 読売新聞ニュースより)

「何か変だな」「いつもと違う」「○○らしくない」「顔色が悪い」「ミスが増えた」「休みがちになった」「笑わない」「表情がない」「奇妙なテンション」などなど。
もしも、家族や同僚、仲間の変化に気づいたら、ためらわずに声掛けをし、話を聴き、専門家につなぎ見守りを行いましょう。
また、管理監督者は、部下の変化に気付いた際の社内での相談先、連絡先、共有先のルール、受診先を予め確認しておきましょう。
また、知識も行動を支えます。いざという時、慌てずに対応ができるよう日頃から学んでおくことをお勧めします。

弊社では、パワハラ防止措置義務の内容にそったサービスを展開しており、御社のハラスメント対策のサポートが可能です。
また、復元力の高いレジリエントワーカーの育成、心理的安全性の高い職場つくり、コミュニケ―ション研修等をご提供し、メンタルヘルス予防、組織レジリエンスの向上をサポートしております。

 

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また、会員企業様については、お悩みを抱えるご本人はもちろん、ご家族や部下、同僚の変化に気づいた際のご相談もお受けしていますので、ご活用頂ければ幸いです。

 

筆者:産業カウンセラー

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