HRコラム

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部下育成に心理学を応用する Part10 ~EQ型リーダーシップ、SQ型リーダーシップ~

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「部下育成に心理学を応用する」でお伝えしてきたシリーズもPart10になりました。
最終回では、部下の育成に係るリーダーの態度、行動、タイプに焦点を当てお伝えしたいと思います。

リーダーシップの研究は古くから多くの関心を集め、アメリカを中心として体系化が進められてきましたが、現在では「コンセプト理論」と言われる「状況に応じた具体的なリーダーシップ」という考え方が主流です。
働き方改革が進み、多様性を求められる現在の社会的背景において、個々の個性を大切にし、部下一人ひとりの状況を理解した上で、部下の心情に共感的に働きかけるリーダーシップが求められるようになりました。
部下の感情を正しく理解し、コミュニケーションを大切にしたリーダーシップに「EQ型リーダーシップ」「SQ型リーダーシップ」があります。

EQ型リーダーシップとは

EQとは、米国の心理学者であるダニエル・ゴールマンが提唱しました。著書である、邦訳『EQこころの知能指数』(講談社、1996年)は日本でも80万部を超えるベストセラーになりましたので、ご存じの方もおられると思います。
「自己と他者の感情を理解し、自らの動機を維持しつつ、他者との関係を効果的にマネージメントする能力」と定義されます。

EQを構成する5つの要素

ゴールマンはリーダーの能力差はIQ(知能指数)の高さではなく、EQ(心の知能指数)に因るものとし、企業社会において優れたリーダーの構成要素を5つ示しました。
1.自己認識:自己の感情、強み、弱み、情熱、価値、目標、他者に及ぼす影響の認識
2.自己抑制:自らの破壊的な感情や衝動を抑制する能力
3.動機づけ:成果に向けた情熱、自身だけではなく関係する人に対する達成感の付与
4.共感性:合理的な決定に際して関係する人の心情への思いやり、配慮
5.ソーシャルスキル:他社との調和した人間関係をマネジメントする能力

これらの5つの能力のあるリーダーは、自分の感情を理解し、その場に相応しい感情調整ができます。また、部下の感情を認識することで、部下の状況に合わせた適切な言動を取ることが可能になり、部下の動機づけが可能になります。
反対にEQが低いリーダーは、部下の感情を認識できず、その発言は不用意になり、場に相応しくない言動になったり、リーダーとして「すべき」態度が取れずに不適切な行動を取る可能性が高くなるでしょう。

リーダーシップ 6つのタイプ

さらにゴールマンは、状況に応じたリーダーシップを6つのタイプに分けて示しています。それぞれにメリット、デメリットがあり管轄するチームや状況に合わせて採用し、柔軟にスタイルを変えていくことが求められます。

1. ビジョン型リーダーシップ
チーム目標や方向性を示し、手法は部下に委ね、自立心の育成や向上を目指します。
メンバーのチームに対する帰属意識が高まり、リーダーに対する信頼関係の醸成にも寄与します。

2. コーチ型リーダーシップ
1:1の関係を重視し、部下との対話を通じて部下が答えを導き出すことを助けたり、個性を尊重する方法。個々を対象にするため、大勢を一度に対応することは難しいスタイルです。

3. 強制型リーダーシップ
役割や権力のチカラで一方的に指示をだす方法。危機的な状況やメンバーに課題があるとき、短期間で行動を変えたいときなどに有効ですが、部下は成長しづらく、またリーダへの信頼が薄いと反発を招くことがあります。

4. 関係重視型リーダーシップ
メンバーとの関係性を大切にし、メンバー同士のコミュニケーションを活性化したり、結びつきを強化する。部下の承認や感情面にポイントを置いているため、メンバーが有能な際には有効です。

5. ペースセッター型リーダーシップ
リーダーが背中で引っ張るやり方で、高い目標を掲げ、部下にも高いレベルを求めついてきてもらうスタイルです。チーム全体の能力が高い時には有効ですが、そうでない場合、リーダーの負担も大きいため、リーダー自身の疲労が蓄積することもあります。ある程度の効果がでたら、メンバー主導型に変更していくことがよいでしょう。

6. 民主型リーダーシップ
対話やミーティングを行い、一人ひとりの考えをチームで共有するスタイルです。自由な発言の機会があり、メンバーからアイディアが生まれやすいことがメリットです。またメンバー同士やリーダーへの信頼関係が高まりやすくメンバーの自立心も高まることが期待できます。

「SQ型リーダーシップ」とは

2007年にゴールドマンが最新の脳科学や心理学の知見を取り入れ、新たに提唱したものが、SQ(Social Intelligence Quotient)です。「社会的知性」「社会的知能」「関わりの知能指数」などと訳され、人間関係を築くうえで必要不可欠な社会性や社交性、コミュニケーションスキル、社会生活を営む上で欠かせない知的能力や資質の総称とされています。「EQ(Emotional Intelligence Quotient)」をさらに発展させた概念として注目されています。

SQの測定項目には、
1.共感力
2.思いやり
3.組織理解
4.影響力
5.人材育成
6.啓発
7.チームワーク
があります。

SQ(社会的知能)を高めるためには、
・周囲の反応や手掛かりに細心の注意を払う
・欲求不満や怒りなどの否定的な感情を認識し、制御する
・習慣や生い立ち、文化など、自分と他者の違いを尊重する
・相手の言葉に積極的に耳を傾ける姿勢を心がける
・自分の人生に関わりがある人たちへの感謝を忘れない

ゴールマンが提唱する5つの能力のあるリーダーが存在するチームは、心理的安全性が高いチーム作りに貢献するばかりではなく、個人のレジリエンスを高め、チーム全体のレジリエンスの向上を後押ししてくれるでしょう。

初めから、高い目標を掲げるのではなく、将来の自身のあるべきリーダー像を掲げ、今ある強みを活かしつつ、できることからスモールステップの達成目標を作り、リーダーとしてのスキルアップを目指していただければと思います。

 

参考図書 引用:ダニエル・ゴールマン(2007),『SQ 生きかたの知能指数』,日本経済新聞出版社
『EQを超えてSQリーダーシップ』DIAMODハーバード・ビジネス・レビュー、2009年2月号引用
https://www.verywellmind.com/about-us-5184564

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