こころとからだの健康

セルフケア ~眠れない夜にリラクセーションを取り入れる~

<

今年は記録的な早さの梅雨明けとなりました。暑く寝苦しい夜に備え、良質な睡眠を目指して、今回のコラムでは「リラクセーション法」をお伝えできればと思います。

リラクセーション法
リラクセーション法は、ストレス反応の軽減において即効性があると言われ、練習し身につけていくことができます。リラックス反応を誘導し、ストレス反応を低減させ、心身の回復機能を向上させる方法ですので、セルフケア法として取り入れてみてはいかがでしょう。

筋弛緩法(PMR漸進的筋弛緩法/ぜんしんてききんしかんほう)
米国の神経生理学者であるエドモンド・ジェイコブソンが開発したリラクセーション法です。筋肉の緊張と弛緩を繰り返し行うことで身体のリラックスを導きます。

10分漸進的筋弛緩法
基本動作
・各部位の筋肉に対し、10秒間力を入れ緊張させ、15~20秒間脱力・弛緩します。
・身体の主要な筋肉に対し、この基本動作を順番に繰り返し行っていきます。

各部位の筋肉が弛緩してくるので、弛緩した状態を体感・体得していくものです。
座っていても横になっていてもどちらでも構いません。横になってする際には、両手は自然に体に添わせ、足は肩幅の広さ程度にします。
それではひとつずつおこなっていきましょう。

1. 両手/両腕
両腕を伸ばし、掌を上にして、親指を曲げて握り込む。10秒間力を入れ緊張させる。手をゆっくり広げ、膝の上において、15~20秒間脱力・弛緩する。筋肉が弛緩した状態を感じるよう教示する。
2. 上腕
握った握り拳を肩に近づけ、曲った上腕全体に力を入れ10秒間緊張させ、その後15~20秒間脱力・弛緩する。
3. 背中
2と同じ要領で曲げた上腕を外に広げ、肩甲骨を引き付ける。
4. 肩
両肩を上げ、首をすぼめるように肩に力を入れる。
5. 首
右側に首をひねる。左側も同様に行う。
6. 顔
口をすぼめ、顔全体を顔の中心に集めるように力を入れる。
(筋肉が弛緩した状態イコール口がぽかんとした状態)
7. 腹部
腹部に手をあて、その手を押し返すように力を入れる。
8. 足
a:爪先まで足を伸ばし、足の下側の筋肉を緊張させる。
b:足を伸ばし、爪先を上に曲げ、足の上側の筋肉を緊張させる。
9. 全身
1~8までの全身の筋肉を一度に10秒間緊張させる。
力をゆっくりと抜き、15~20秒間脱力・弛緩する。

【参考:文部科学省(2021). CLARINETへようこそ 第2章 心のケア 各論 文部科学省 Retrieved from https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010/004.htm (June 16, 2021)】

呼吸瞑想法 Mindfulness of Breathing
筋弛緩法が主に身体へのリラクセーション効果が高いとすると、呼吸瞑想法は精神のリラクセーション効果が高いと言われています。
呼吸瞑想法は、こころ静かに坐る(横になる)ことで、脳内物質の変化に因って乱れた自律神経のバランスを正し、副交感神経を優位にし、ストレスにとらわれている状態からの脱却を促進してくれます。

それでは行っていきましょう

1. 可能な範囲で静かな場所で行いましょう。
2. 座るか横になるかは自由です。なるべく身体の負担を軽くし、リラックスできる服装で行います。
3. 目を静かに閉じ、ゆったりした気持ちで肩の力を抜きましょう。
4. 座って行う場合は、両足を床につけ腰などの姿勢を整えます。口や目は閉じましょう。
5. 最初に一回、口呼吸します。口から深く息を吸い、口から「はぁ~」と吐き出します。
その後、普通の鼻呼吸をいつもと同じく、コントロールせずに、常に自然に腹式呼吸をします。鼻から吸い鼻から出します。無理に深呼吸をする必要はありません。
6. 呼吸に神経を集中し、吸う時には吸うことに集中し、吐くときには吐くことに意識を集中します。
7. もし途中で呼吸から意識が離れ、雑念が浮かんでも大丈夫です。改めて呼吸に集中をします。空気の流れを意識し、あなたが吸い込んだ空気の流れに意識を集中します。集中することが難しい時には、「ふくらむ、ふくらむ」と腹部を意識し空気を吸い込みます。吐くときは、「凹む、凹む」と体から出ていく呼気に集中します。
8. 息を吸う時、全身の隅々まで空気が行きわたること意識し、また、息を吐く時は全身から空気が出ていくことを意識し、全身の動きを観察します
9. 気持ちが落ち着くまで繰り返し行います。
10.呼吸瞑想法は、可能であれば継続して短時間(10分程度)でも行うことで、自然に普段の生活に生かすことができます。ご自分で自分自身を客観的に観察する習慣が身につけられます。

ストレッチ
ストレス状態が続いていると、知らず知らずの内に筋肉が緊張した状態になり、頭痛や肩こり、腰痛などを引き起こすことがあります。筋肉をときほぐすには、ストレッチが有効です。体を伸ばして、リラックス感を味わってみましょう。

ストレッチを行う際のポイント
〇はずみをつけない
〇ゆっくり伸ばす
〇痛くなるまで無理に伸ばさない
〇呼吸は止めずに自然に行う

それではおこなっていきましょう

腕を伸ばすストレッチ
1. 両手を交差させ、手のひらを頭上で合わせます
2. 頭上に上げた両腕を少し後ろに引いて伸ばします

肩をほぐすストレッチ
1. 右腕を左腕方向にまっすぐ伸ばします
2. 肩、腕が緊張するまで後ろに引きます
3. 今度は肩の高さで両腕を前に組みます
4. 前に引っ張り背中を伸ばします

足のリラクセーション
1. 体中の力を抜き、椅子に座ります
2. 両足をあげ、つま先と膝を10~15秒程度伸ばします
3. 足が緊張してきたら静かにゆっくり足を降ろし、リラックス感を味わいます

血行促進でリフレッシュ
1. 力を抜いて立ちます
2. 肩、腕、ひざの力をゆるめて上下に小さくはずみ、血液循環を促します

ご自身に合っているものは見つかりましたか?
リラクセーション法は、いくつも習得し、その時々のストレスに応じて使えるようにしておきましょう。

参考:職場や自宅でできる簡単リラクセーション(監修横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター センター長 山本晴義 先生)
https://www.kyousyokuin.or.jp/enjoy/column/health/break/20150107.html

 

筆者:産業カウンセラー 公認心理師

資料ダウンロード全27ページパワハラ防止法に対応!体制づくりに役立つ資料を無料進呈資料ダウンロード全27ページパワハラ防止法に対応!体制づくりに役立つ資料を無料進呈