こころとからだの健康

メンタルヘルス ~若者14億人に難聴の危険性 WHO(世界保健機関)報告~

2023/02/13
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WHOは、大きな音が及ぼす耳への影響について報告書を公表しました ※1

「音響性難聴」とは

「音響性難聴」は、ヘッドホンやイヤホンで大きな音を聞き続けることによって起こります。
耳から入った音は、内耳の蝸牛にある「有毛細胞」が傷つき壊れてしまうことで起こります。
「有毛細胞」の役割は、音の振動を電気信号に変換し脳に伝えることですから、「有毛細胞」が壊れると、音を感じにくくなり、難聴を引き起こします。

WHOでは、14億人もの世界の若者たち(12~35歳)が、携帯型音楽プレーヤーやスマートフォンなどによる音響性難聴のリスクにさらされているとして警鐘を鳴らしています。

安全な音のきき方とは

WHOは、こうした疾病に至らぬよう、安全な音の上限を定めています。
安全な音のきき方は、音量(デシベル)と音にさらされる時間に関係します。

WHOが示す安全な範囲は、80デシベルで週40時間以内(一日平均にすると約5.7時間)とし、85デシベル以上はリスクとなり、98デシベルであれば、週75分以上さらされることにより耳を傷める可能性があると指摘しています。

では、リスクのある85デシベルはどの程度の音量でしょうか?
イメージしやすいよう例を出してみましょう。
調理用ミキサーが丁度85デシベルくらい、また走行中の電車内やパチンコ店内は80デシベル、店内中央のカラオケ音は90デシベル程度と言われています。
多くのコンサート会場での音量は100~110デシベルですから、耳を守りながら楽しむことが求められます。

気を付けるポイント

WHOでは、ヘッドホンやイヤホンで音楽などを聞くときには、耳の健康を守るために、以下のようなことを推奨しています。※2

①音量を下げたり、連続して聞かずに休憩を挟んだりする
②使用を1日1時間未満に制限する
③周囲の騒音を低減する「ノイズキャンセリング機能」のついたヘッドホン・イヤホンを選ぶ

ヘッドホン使用のもう一つのリスクについて

ヘッドホンを通勤時やランニング、ウォーキング時などの外出の際に使用されている方は多くおられるのではないでしょうか。

ヘッドホンなどで音楽を聴きながらの歩行は、難聴の危険性だけではなく、事故に遭う、また起こす確率もあげてしまいます。
ヘッドホンは、聴覚がふさがれるだけではなく、目で見た情報を認識する能力にも影響があると考えられ、犯罪や交通事故の被害にあう危険性もあると専門家は指摘しています。

NHK首都圏ナビ(https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20220921b.html
にご出演の愛知工科大学の小塚一宏名誉教授(交通工学)らの実験では、両耳で音楽を聞きながら自転車に乗った場合、通常に比べ、飛び出してくる人に気づくまでの時間が0.2秒ほど遅くなったということです。
0.2秒は時速10キロの自転車と仮定すると50センチから60センチの移動に相当します。横切る人に気づくのが遅れ、接触したりはねたりする危険性もあるのです。

いかがでしたでしょうか。
ヘッドホンは上手に使用し、疾病のリスクや事故発生のリスクを減らしていただければ幸いです。

参考:※1 世界保健機関 2023年1月31日公表
https://www.bbc.com/japanese/video-64449214
※2 世界保健機関
https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/177884/WHO_NMH_NVI_15.2_eng.pdf

筆者:産業カウンセラー、公認心理師

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