こころとからだの健康

コロナ禍の今だからこそ、職場環境改善を考える

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今回は職場環境改善についてお話ししたいと思います。

ストレスチェック制度が始まり6年になります。
制度の目的は「セルフケア」を促すこととストレスチェック集団分析を活用し「職場環境改善」を行うことです。
けれども相談室に寄せられるご担当者からは、「どこから手を付けてよいのか分からない」「難しそう」「取り組む余裕がなくて、、」「経営層への説明が大変」など、消極的な発言が聞かれることもあります。
そこで、職場環境改善の取り組みの初めの一歩の一助になればと取り組み例を交えながら、お伝えしたいと思います。

職場環境には、「物理的環境」以外に「人間関係」や「コントロール度」「職場の支援」が含まれます。
新型コロナ感染症は、これまで予測しなかった働き方の変化、コミュニケーションディスタンスによる支援不足、ミスコミュニケーションによる意思疎通の課題、在宅勤務による管理やコントロール度など、多くの影響を及ぼしました。
こうした課題に対し、・比較的負担の少ない方法で ・今からできること ・それぞれの職場に合った方法で、先ずは始めてみると良いでしょう。

厚生労働省は、職場環境改善の有効性について下記のように述べています。
『職場環境改善を行うことによって、①仕事のストレスや健康状態が改善したり、あるいは②生産性が向上することが国内外の多くの研究によって報告されています。これらの研究から共通して言えることは、 効果的なストレス対策を行うためには、個人向けのストレス対策だけでなく、職場の環境改善のように組織的なストレス対策を組み合わせて行うことが必要であるということです。』とし、「職場環境改善は根拠のある活動」であると推奨しています。

更に『ストレスチェックとその後の職場環境改善を経験した労働者は、ストレスチェック制度が実施されなかった事業場の労働者と比較して心理的ストレス反応が改善していました。ストレスチェック制度を効果的に活用するためには、単にストレスチェックの個人結果を返却するだけで終えるのではなく、集団分析結果に基づく職場環境改善を実施することが大切です。』とストレスチェック制度と職場環境改善の関係性を説明しています。

経営層に向けて説明するためのヒントとして、「生産性の向上効果」があります。
厚生労働省 職場環境改善 アクション100によると、
『職場環境改善の取組は、生産性の向上にも効果があります。職場環境改善のメリット(費用便益)を 検討した研究では、職場環境改善の実施にかかる費用が1人当たり7,660円なのに対し、実施の結果生産性が向上して得られる利益が1人当たり15,200円と、費用便益が約2倍と見積もられています。ストレスチェック制度における職場環境改善の実施は、労働者のメンタルヘルスの改善と生産性の向上の両方に効果が期待できる活動です。』
(参考:厚生労働省 職場環境改善 アクション100)

職場環境改善を行う上で定められたルールはありませんので、誰が主導するか、何から始めるかは、それぞれの企業の事情にあった形で進められます。

取り組み事例を「職場環境改善 アクション100」から一部抜粋しご紹介します。
物理的改善
・社員駐車場に凸凹ができていたので、舗装を全面的に打ち換えました。
・手荒れ防止のため、手洗い用の石鹸を敏感肌用に変更しました。
・トイレのスリッパを買い替えたら、思っていた以上に、気分が明るくなりました。
・体の中からキレイにしようということで、キッチンに浄水器を設置しました。
管理面
・2年に1回の従業員満足度調査で把握した課題について、定期的にその後の状況を確認し、改善に取り組んでいます。
・時間外労働・休日労働時間削減のため、時差出勤制度を導入しました。
・時間外労働時間の削減について、会社としてアナウンスを徹底したら、一人当たりの 時間を月10%削減することができました。
健康増進
・スポーツジムと法人契約を結び、社員の健康増進を促進することにしました。
・インフルエンザワクチン接種の会社補助の対象を、社員の同居家族全員にしたら、罹患者がすごく減りました。
・適切な時間に食事がとれるように、残業食を提供して、みんなの頑張りに応えることにしました。
コミュニケーション
・みんなが座りやすくて、コミュニケーションが取りやすくなるように、食堂のテーブルの位置を工夫しました。
・各部署から選出されたメンバーによる小集団活動で、全体のコミュニケーション・情報共有力を強化しました。
・協力会社の方やアルバイトを含めた全員で、年1回、小グループで飲食しながらのサロン活動をすることにしました。
メンタルヘルス
・生活習慣委員が、パワハラ・セクハラ等の悩み・実態に関する相談を随時受けつけています。
・丁寧な言葉遣いと元気なあいさつ運動で、職場が明るくなりました。
・安全衛生委員会で保健師主導のグループワークを開催して、改善すべき点を洗い出しました。

「こうした取り組みなら始められるかも」と参考にして頂ければ幸いです。

取り組みについては、厚生労働省の研究班が作成した資料も厚生労働省「こころの耳」からダウンロードが可能ですので、参考になさると良いでしょう。

また、弊社のご提供するサービスにもストレスチェックの実施、職場環境改善のご相談を受け付けておりますので、お問い合わせ頂ければと思います。

参考:厚生労働省 職場環境改善 アクション100

https://jsite.mhlw.go.jp/fukuoka-roudoukyoku/content/contents/000659416.pdf

厚生労働省「こころの耳」https://kokoro.mhlw.go.jp/manual/

 

筆者:産業カウンセラー
2021/12

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