こころとからだの健康

メンタルヘルス ~生活習慣改善はメンタルヘルス対策~

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国立精神・神経医療研究センターが1.2万人に行った調査の結果が2018年に公表されました。(※1)
この調査によると、うつ病経験者は、そうでない人に比べ、朝食を摂る頻度が低く、反対に間食や夜食の頻度が高いこと、中程度の運動をしている頻度が低いことが明らかになりました。
うつ病の発病は、メタボリック症候群、間食・夜食頻度と関係があり、朝食頻度が発病しにくさと関係します。そのため、体重の偏りをなくし、メタボリック症候群を防ぎ、朝食を摂り、間食・夜食を控えることが好ましいと考えられるとしています。

 

厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト(※3)
厚生労働省主導のスマート・ライフ・プロジェクトは、「健康寿命をのばしましょう」として、生活習慣病の改善を推奨し、運動身体活動の分野において、国のガイドラインということで定められている『アクティブガイド』を作成しています。
生活習慣の見直しは、健康寿命を伸ばすだけではなく、安定したメンタルヘルスを維持するためにも大切な要素となります。

TLC(ライフスタイル改善療法)※2
米カリフォルニア大学のRoger Walsh博士が、米国心理学会(APA)の学会誌に発表された論文によると、ライフスタイルの改善(TLC)によって、うつ病を始めとした各種の精神状態を改善できるとしています。

研究者らは、薬物療法のみを行った場合に比べ、生活習慣改善は効果があるだけでなく、より安価で満足度が高く、副作用や合併症も少なく安全であることを明らかにしました。

TLCは運動、健康な食生活、自然とのふれあい、人付き合い、レクリエーション、リラクセーション、マインドフルネス、ボランティアなど様々な面におよび、継続的な改善への取り組みによって、心身に好ましい効果が期待できると説いています。

Walsh博士は「21世紀には精神衛生、精神医療、公衆衛生の分野でも、生活習慣改善は中心的な課題となる」と提言しています。

健康的な生活習慣がもたらすメリットは次の通りです。

・運動には、気持ちを明るくするだけでなく、不安や落ち込みを改善する効果も期待できます。運動は、子供が学校生活に適応するのを助けたり、大人の認知能力を向上したり、高齢者では認知症の抑制にも影響があります

・食生活を改善し、野菜、果物、魚などを十分にとると、うつや統合失調症といった精神疾患でも、症状の軽減といった好ましい影響を得られます

・自然にふれる時間をつくると、認知機能に好ましい影響があらわれ心身の状態も安定しやすくなります

・良好な人間関係は、風邪などのちょっとした病気から脳卒中などの深刻な病気まで、発症リスクを抑えてくれるだけでなく、精神医療においても好ましい効果があります

・レクリエーションや余暇に楽しみを得ることは、障害を取り除き、社会的能力を向上させるのに役立ちます

・リラクゼーションやストレス管理は、不安症・不眠症・パニック障害の治療に有用です

・他者に貢献したり献身的にふるまうと、気持ちが落ち着き寛容になりやすくなり、メンタルヘルス上でもメリットが多いのですが、家族の介護などを熱心に行うあまり“燃え尽き症”になるのは注意が必要です

Walsh博士は、「現代社会は情報過多で、喫煙や飲酒、ファストフードの利用などの健康に好ましくない習慣に引き込もうという広告・宣伝も多くある。本当に好ましいものを判断して選ぶのが難しくなっており、現代人は容易に不健康になってしまう」とも指摘しています。

長引くコロナ下で、外出控えや運動不足、生活リズムの乱れ、乏しくなってしまった社会的な交流などはありませんか?
ウィズコロナから、アフターコロナへ。
適度な運動習慣、バランスの取れた食生活、自然との触れ合い、社会貢献活動など、見直してみてはいかがでしょう。

 

参考:
※1  国立精神・神経医療研究センター
https://www.ncnp.go.jp/up/1521695572.pdf
※2  アメリカ心理学会 「TLC」は健康と幸福を約束します
https://www.apa.org/news/press/releases/2011/02/beyond-tlc
※3 厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト
https://www.smartlife.mhlw.go.jp/
日本生活習慣病予防協会
https://seikatsusyukanbyo.com/calendar/2011/001756.php

 

筆者:産業カウンセラー 公認心理士

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