こころとからだの健康

季節の変化とメンタルヘルス

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秋と冬の境目とした季節がやってきます

11月は旧暦の「霜月」です。
11月の風物詩と言えば、何を思い浮かべるでしょう。代表的なものとして、「紅葉狩り」「七五三」「冬支度」「酉の市」などでしょうか。
二四節気では、「立冬」「小雪」となり、天候は、強い寒気の流入による冬型の気圧配置と木枯らしが特徴になってきます。

寒気の流入や気候の変化は、体調やメンタルヘルスにも影響を及ぼすことがあります。
お読みいただき、体調を整えるヒントとしていただければと思います。

11月に表れやすい気象病と体調管理

この時期に注意が必要な疾患としては、空気が乾燥する秋から冬に多い「ウイルス性食中毒」です。「ウイルス性食中毒」の中でも、「ノロウイルス」は11月から患者数が増加し、1月をピークに3月まで多い時期が続きます。

ノロウイルスについてはワクチンがなく、また、治療は輸液などの対症療法に限られますから、感染予防が大切になります。
特に抵抗力の弱い小さなお子さんや高齢者がおられるご家庭は気をつけましょう。

予防法として、
・食事前、調理前後の十分な手洗い
・家庭内での二次感染を防ぐ消毒・清掃・換気
・食品の十分な加熱と調理器具の消毒
が挙げられます。
(詳しい情報は、厚生労働省 「ノロウイルスQ&A」をお読みください)
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000856719.pdf

季節性うつ病(季節性情動障害SAD)について

うつ病は、実は季節によって発症頻度が高まることもあることをご存じでしょうか?

季節性うつ病は1984年に精神科医のローゼンタールらにより「冬季うつ病」として初めて報告された精神疾患です。
秋から冬にかけてうつ症状が現れ、3月頃になるとよくなるというパターンを繰り返すと言われています。
有病率は、欧米では1~10%で、発症年齢は20歳代前半で女性に多く、冬季に反復する場合の有病率は緯度、年齢、性別により差があり、高緯度地方では増大するといわれます。ですから白夜のある北ヨーロッパでは発症率が高いと言われています。

季節性うつ病の発症原因の一つに、冬場の日照時間不足があります。日照時間が減少することで脳内でセロトニンの分泌が減り、神経機能が低下することで発症しやすくなると考えられています。

冬季うつ病には、下記の症状の特徴がみられます。
• 睡眠時間が長くなり、日中でも眠気がある
• 食欲が旺盛で、甘いものや炭水化物が欲しくなる
• 体重の増加
• 気分が落ち込み、無気力となる
• 集中力が低下し、日常の家事・仕事がうまく処理できない

改善については、
①日照時間の調整
・積極的に光を浴びましょう 1万ルクスの光であれば1時間が目安です
②栄養バランスが取れた食事
・セロトニンの生成に必要な「トリプトファン」が多く含まれる肉、魚、大豆などのたんぱく質をバランスよく摂りましょう
③適度な運動
・一定のリズムで行う適度な有酸素運動(ウォーキング、水泳、ジョギングなど)はセロトニンの分泌を促し、副交感神経を優位にすることが分かっています
④規則正しい生活
・「体内時計」が乱れないよう、可能な範囲で眠る時間、起きる時間を定め、リズムを崩さない生活をしましょう
⑤症状に気が付き、セルフケアで改善が見られないときには、受診を視野に入れましょう

寒暖差疲労が溜まりやすい

以前、3月に掲載した「春先のメンタルヘルス」でも季節変動と自律神経の影響についてご説明を行いましたが、春と同様、秋から冬に向けても、自律神経は、環境の影響を受けやすくなります。

寒い冬は交感神経が優位に働き、暑い夏は副交感神経が優位に働きます。中間である秋は、移行期間になるのですが、朝晩の寒暖の差も大きく交感神経優位が続くとエネルギ-消費が増え、自律神経が疲労し、疲れやだるさを感じやすい状態なりがちです。

気象病とは

天気の変わり目は気圧も不安定になりがちで「秋の長雨」などの言葉もあるように、雨が続いたり突然の降雪などに戸惑うこともあります。
日本初の「気象病外来・天気痛外来」を開設した愛知医科大学病院 痛みセンターの佐藤Dr.によると、「ヒトの体は天気の変化、すなわち気圧の変動を受けるとストレスを感じます。すると、そのストレスに対抗するために交感神経が活発になり、血流が障害されたり筋肉の緊張が起こったりします。そして、この自律神経のバランスの乱れによってもともと体に持っていた痛みが悪化するのです」と解説しています。
また内耳が敏感な方は、天気痛のリスクも高まると言います。

冬季うつ病の予防法は、普段の生活にも活用できますので、ぜひ規則正しい生活や睡眠時間の確保、バランスの良い食事、適度な運動などを心がけていただければと思います。

 

筆者:産業カウンセラー 公認心理師

参考:厚生労働省 eーヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-004.html

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