こころとからだの健康

メンタルヘルスとは?要因と対処法をあわせて解説!

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1.メンタルヘルスとは?

メンタルヘルスとは、体の健康ではなく、こころの健康状態を意味します。(厚生労働省)世界保健機関(WHO)では「自身の可能性を認識し、日常のストレスに対処でき、生産的かつ有益な仕事ができ、さらに自分が所属するコミュニティに貢献できる健康な状態」と定義されています。
「健康な状態」とは、WHO憲章の前文において「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること(日本WHO協会訳)」とあります。すべてを満たされた状態を「ウェルビーイング」と表現しており、この満たされた状態を持続するためには、メンタルヘルスケアが重要となります。

(1)メンタルヘルスの重要性

人は誰しも気持ちが落ち込んでしまったり、ストレスを感じるできごとに遭遇することがあります。生活をしていると当たり前に感じるストレスも、過剰になったり継続していくことで心の調子を崩す要因になり、適切な対処を怠ると身体疾患や精神疾患などの疾病に至ることもあります。

ストレスに対処し、良好なメンタルヘルスを持続させることは、生活の質を向上させます。仕事や学業、対人関係においてもポジティブな影響をもたらします。メンタルヘルスの維持は、健やかな社会生活を営む上でとても重要であり、そのためには、自身にあったメンタルヘルスケアの方法を多く持つことがポイントとなります。

(2)社会的な視点

近年、経済、産業構造が変化する中、仕事や職業生活に関する強い不安や悩み、ストレスを感じる労働者の割合が増加しています。

厚生労働省は、社会構造の変化によるストレス、自殺や精神障害による労災認定の事案が増加したことから平成18年3月に「メンタルヘルス指針」を策定し、職場におけるメンタルヘルス対策を推進しました。

国が「こころの健康づくり計画」を推進したことにより、社会全体でも、メンタルヘルスの重要性が認識されつつあります。職場や学校などでのメンタルヘルスプログラムの導入や、メンタルヘルスに関する教育・啓発活動が進められています。また、偏見や差別をなくし、メンタルヘルスの問題を抱える人々が適切なサポートを受けられる環境を整えることが求められています。

2.企業にメンタルヘルスの対策が求められる理由

「メンタルヘルス指針」は、労働安全衛生法第 70 条の 2 第 1 項の規定に基づき、同法第 69 条第 1 項の措置の適切 かつ有効な実施を図るための指針として、事業場において事業者が講ずるように努めるべき労働者の 心の健康の保持増進のための措置(以下「メンタルヘルスケア」という。)が適切かつ有効に実施されるよう、メンタルヘルスケアの原則的な実施方法について定めるものです。

企業は上記の法律に則り、メンタルヘルスの対策が求められます。

メンタルヘルス対策は多岐にわたります。解説して参ります。

(1)従業員の健康とパフォーマンスの向上

メンタルヘルスの良好な状態は、従業員の生産性や仕事の質に直結します。精神的な健康が保たれている従業員は、仕事に対する集中力や創造性が高まり、業務効率が向上します。また、メンタルヘルスの問題が未然に防止されることで、欠勤や遅刻、病気休暇の減少が期待されます。

(2)職場環境の改善

職場のメンタルヘルス対策が整備されている企業は、従業員のモラルやエンゲージメントの向上につながります。これにより、職場内のコミュニケーションや協力関係が強化され、働きやすい環境が形成されます。結果として、チーム全体のパフォーマンスが向上し、企業の生産性も高まります。

(3)企業の法的義務とコンプライアンス

WHOとILOは働く人々のメンタルヘルスを守る対策を呼びかける政策概況を発表しています。そのため、メンタルヘルス対策を国家プログラムとして実施している国は35%になりました。
日本でも労働安全衛生法などに基づき、企業は従業員のメンタルヘルスケアを含む安全配慮義務を果たす必要があります。この義務を怠ると、法的なトラブルや損害賠償のリスクが高まるため、企業は積極的にメンタルヘルス対策を講じる必要があります。

(4)経済的コストの削減

メンタルヘルス問題が引き起こす経済的損失は無視できません。従業員のメンタルヘルス問題に伴う欠勤や生産性の低下、医療費の増加などが企業にとって大きなコスト負担となります。内閣府の調査によると年収約600万円の男性社員1人が6ヶ月休職した場合に企業が支払うコストは、周囲の社員の残業代増加なども含めると、合計で422万円にものぼるとされています。

適切なメンタルヘルス対策を実施することで、これらのコストを削減し、企業全体の経済的安定を図ることが可能になります。

(5)社会的責任と企業の評価向上

企業がメンタルヘルスに対して積極的な取り組みを行うことは、社会的責任(CSR)の一環としても重要です。メンタルヘルス対策に力を入れている企業は、従業員やその家族、さらには地域社会からの評価が高まり、企業のブランドイメージや信頼性の向上につながります。また、労働市場においても、魅力的な雇用者として認識され、優秀な人材の確保に有利となります。

(6)長期的なビジネスの成功

メンタルヘルス対策は、長期的なビジネスの成功に不可欠です。持続可能なビジネスを築くためには、従業員の健康と幸福が基盤となります。健全な労働環境を提供することで、企業は持続的な成長と発展を遂げることができます。

 

総じて、メンタルヘルス対策は企業の健全な運営と持続的成長のために不可欠です。従業員の健康とパフォーマンスを向上させるだけでなく、法的リスクの回避や経済的コストの削減、社会的評価の向上にも寄与します。企業は積極的にメンタルヘルス対策を講じることで、健全な労働環境を確保し、持続可能なビジネスの基盤を築くことが求められます。

 

3.メンタルヘルスケアのメリットとは?

メンタルヘルスケアの実施は、個人だけではなく、組織への影響も大きく、両方に寄与します。

(1)メンタルヘルスケアのメリット

ア ストレスの軽減

メンタルヘルスケアは、ストレスを軽減し、心の安定をもたらします。これにより、日常生活の質が向上し、ストレス関連の健康問題を防ぐことができます。

イ 生産性の向上

良好なメンタルヘルスは、集中力や創造性を高め、業務効率の向上に寄与します。メンタルヘルスケアを実施することで、従業員のパフォーマンスが向上し、企業全体の生産性も向上します。

ウ 職場環境の改善

健康な精神状態は、良好な人間関係を築く基盤となります。職場でのコミュニケーションが円滑になり、協力関係が強化されることで、働きやすい職場環境が形成されます。

エ 欠勤と離職率の低下

メンタルヘルスケアを実施することで、メンタルヘルス問題による欠勤や離職が減少します。これにより、企業は人材の確保と育成にかかるコストを削減できます。

4.メンタルヘルスの不調に起因する症状・精神疾患

メンタルヘルスの不調は多様な症状や精神疾患を引き起こし、個人の生活の質を大きく低下させることがあります。

弊社人事ご担当者から寄せられるご相談に多い疾病について解説して参ります。

 

(1)うつ病気分障害

うつ病は、メンタルヘルスの不調の中でも最も一般的な疾患です。欧米よりは低いものの、日本では生涯に100人に約6人がうつ病を経験しているという調査結果があります。

 

一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態です。また、うつ病になると、ものの見方や考え方が否定的になります。うつ病かなと思ったら、自己判断をせずに、総合病院の精神科や心療内科、精神科のクリニックなどに相談しましょう。

(引用:こころの情報サイト 国立精神・神経医療研究センター)

 

(2)不安障害

不安症とは差し迫った出来事に対する恐怖や、将来に対する不安が過剰となり、行動や社会生活に影響を与える状態が、成人の場合は6ヶ月、子どもの場合は4週間、続いている状態です。

不安とともに、動悸、呼吸困難、震え、発汗などの身体症状が生じることもあります。特にパニック発作と呼ばれるタイプでは、強い不安と共に、こうした身体症状が急激に生じることが特徴です。

(引用:こころの情報サイト 国立精神・神経医療研究センター)

 

(3)発達障害

発達障害は、脳の働き方の違いにより、物事のとらえかたや行動のパターンに違いがあり、そのために日常生活に支障のある状態です。発達障害には、知的能力障害(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(学習障害)、協調運動症、チック症、吃音などが含まれます。同じ障害名でも特性の現れ方が違ったり、他の発達障害や精神疾患を併せ持つこともあります。

(引用:こころの情報サイト 国立精神・神経医療研究センター)

(4)不眠症(睡眠障害)

日本では不眠の悩みは3人に1人、不眠症は10人に1人、比較的女性に多い悩みです。

普段より寝付くのに長く時間がかかる、一旦寝付いても途中で何度も目が覚める、朝極端に早く目覚めてしまい再度寝付けない。3~5割程度の人が、これらの不眠症状を一過性に経験し、おおよそ1割の人が慢性的な不眠で悩むと言われています。また、不眠の悩みを持つ人は男性より女性の方が多いと言われています。

ア 不眠症状の多くはストレスに伴い出現

強いストレスを感じる出来事に遭遇すると、多くの人が数日から数週間続く一時的な不眠を経験します。そのうち、一部の人では不眠が1ヶ月以上にわたり持続します。不眠が週3日以上、3ヶ月以上持続する場合、治療が必要な不眠症の可能性があります。不眠症は単独で生じる場合もあれば、精神疾患や身体疾患に伴い生じる場合もあります。

イ 不眠症のサイン

・典型的な不眠症状(夜間症状)

典型的な不眠症状として、①床に入ってもなかなか寝つけず(入眠困難)、②夜中に何度も目を覚ます(中途覚醒)、③朝早く目が覚め、再度寝付けない(早朝覚醒)、の3つが良く見られます。

・不眠に伴う日中症状

さらに、不眠症状が慢性化するとしばしば、朝起きた際の睡眠により休養が取れた感覚(睡眠休養感)が薄れ、活力や気分の低下、仕事の効率の低下、生活の質の低下など、様々な日中の困りごとが生じる様になります。前述の不眠症状(夜間症状)に、これらの日中症状が加わると、治療が必要な不眠症と判断されます。

(引用:こころの情報サイト 国立精神・神経医療研究センター)

 

(5)依存症

依存症は、日々の生活や健康、大切な人間関係や仕事などに悪影響を及ぼしているにも関わらず、特定の物質や行動をやめたくてもやめられない(コントロールできない)状態となってしまいます。

依存症にはアルコールやニコチン、薬物などに関連する物質依存症とギャンブル等の行動や習慣に関連する行動嗜癖があります。これらは、特定の物質や行動を続けることにより脳に変化が起きることにより症状が引き起こされる病気で、本人のこころの弱さのために起きている現象ではありません。

日本では、アルコール依存症:約10万人、薬物依存症:約1万人、ギャンブル等依存症:約3,000人が病院で治療を受けています。

(引用:こころの情報サイト 国立精神・神経医療研究センター)

 

ア. ニコチン依存

(参考:国民生活基礎調査の概況2023年7月公表

健康意識の高まりから喫煙する人の数は減少傾向にあります。

日本の喫煙率は、男性は全体で25.4%、女性は7.7%となりました。男女間の喫煙率の違いは2~5倍程度の違いがあります。米国の調査結果は、2022年度では13.5%と減少しています。

年齢階層別動向を見ると、男性は40代前半をピークとし、以降すこしずつ減少、定年退職前後から減少の度合いが大きくなるのに対し、女性は50代前半をピークとするが、それ以降も減少状況はゆるやかでほぼ均一な動きです。

日本は、2010年時点で約20%の喫煙率を2022年までに12%に下げることを目指しています。これは、「たばこをやめたい喫煙者が2022年度までに全員禁煙すれば12%に低下する」として定められた目標値で、「がん対策推進基本計画」にも使われています。

 

イ. アルコール依存症

2013年の厚生労働省研究班の調査によると、日本の飲酒人口は、男性の82.4%、女性の60.1%で、合わせて8428万人です。

リスクの高い飲酒者(1日平均男性40g以上、女性20g以上)は、男性の14.4%、女性の5.7%が当てはまり、合わせて1039万人です。普段の1日飲酒量が純アルコール60g(ビール換算中瓶3本)以上の人を「多量飲酒者」とすると、男性の15.6%、女性の3.6%で、合わせて980万人にのぼります。

WHOの報告では、ある要因が社会に与える影響を測る指標であるDALY(障害調整生命年)に換算すると、飲酒は3番目に大きな健康リスクになるといわれています。

 

飲みすぎによる労働・経済への影響は、治療費を大きく上回ります。飲酒や体調不良により生産性が低下する、病気休暇や死亡により労働力を失うなど、労働損失と雇用の喪失は年間推定3兆947億円にも上り、また、自動車事故・犯罪・社会保障によるその他の社会的損失は、年間約283億円(2011年厚生労働省調査班)となりました。

(引用:アルコール依存症治療ナビ http://alcoholic-navi.jp/

 

アルコール嗜癖がある人が、健康診断で指摘される代表的な症状では、

  • 肝障害(γGTP値の上昇~進行すると黄疸やむくみ、腹水の出現など)
  • 胃腸障害(胃炎や下痢、胃潰瘍など)
  • 膵炎や糖尿病
  • がん(特に多いのが食道がん、胃がん、肝臓がん、大腸がん、すい臓がん)
  • 睡眠障害
  • うつ病

などと関連しているとされています。

(引用:依存症対策全国センター https://www.ncasa-japan.jp/

(6)双極性障害(躁うつ病)

日本における消極性障害の頻度は1,000人に4~7人弱です。

うつ病だと思いながらも、極端に調子がよくなって活発になる時期がある場合は、双極性障害(躁うつ病)かもしれません。 双極性障害では、ハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態を繰り返します。躁状態になると、眠らなくても活発に活動する、次々にアイデアが浮かぶ、自分が偉大な人間だと感じられる、大きな買い物やギャンブルなどで散財するといったことがみられます。

 

「双極性障害」はかつて「躁うつ病」といわれていました。そのこともあってうつ病の一種と誤解されがちでしたが、実はこの二つは異なる病気で、治療も異なります。

(引用:こころの情報サイト 国立精神・神経医療研究センター)

日本は、2010年時点で約20%の喫煙率を2022年までに12%に下げることを目指しています。これは、「たばこをやめたい喫煙者が2022年度までに全員禁煙すれば12%に低下する」として定められた目標値で、「がん対策推進基本計画」にも使われています。

(7)統合失調症

統合失調症の日本での患者数は約80万人といわれています。世界各国の報告をまとめると、生涯のうちに統合失調症を発症する人は全体の人口の0.7%と推計されます。100人に1人弱。決して少なくない数字です。それだけ、統合失調症は身近な病気といえます。

統合失調症は、こころや考えがまとまりづらくなってしまう病気です。そのため気分や行動、人間関係などに影響が出てきます。統合失調症には、健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状と、健康なときにあったものが失われる陰性症状があります。 陽性症状の典型は、幻覚と妄想です。幻覚の中でも、周りの人には聞こえない声が聞こえる幻聴が多くみられます。陰性症状は、意欲の低下、感情表現が少なくなるなどがあります。 周囲から見ると、独り言を言っている、実際はないのに悪口を言われたなどの被害を訴える、話がまとまらず支離滅裂になる、人と関わらず一人でいることが多いなどのサインとして表れます。早く治療を始めるほど、回復も早いといわれていますので、周囲が様子に気づいたときは早めに専門機関に相談してみましょう。

(引用:こころの情報サイト 国立精神・神経医療研究センター)

(8)ストレス障害

・急性ストレス反応(急性ストレス障害 (Acute Stress Disorder「ASD」)

急性ストレス障害は、外傷後ストレス障害と似たような症状を起こしますが、数時間、数日から4週間以内に自然治癒する一過性の障害です。
時間の経過とともに治っていくことが多いですが、場合によっては外傷後ストレス障害へと発展してしまうことがあるため、早い段階での対応が重要です。

・PTSD(心的外傷後ストレス障害)

PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)は、死の危険に直面した後、その体験の記憶が自分の意志とは関係なくフラッシュバックのように思い出されたり、悪夢に見たりすることが続き、不安や緊張が高まったり、辛さのあまり現実感がなくなったりする状態です。PTSDは決して珍しいものではなく、精神医療においては「ありふれた」病気のひとつであると言えます。

代表的な症状は、①侵入症状=再体験症状 ②回避・麻痺症状 ③認知と気分の陰性変化 ④過覚醒症状 があります。

(引用:こころの情報サイト 国立精神・神経医療研究センター)

 

上記に挙げた疾病について、より詳しくお知りになりたい方は、下記のリンク「こころの情報サイト」をご覧ください。

 

【参考文献】

「こころの情報サイト」 国立精神・神経医療研究センター

https://kokoro.ncnp.go.jp/

令和元年国民健康・栄養調査報告;2020年

https://www.mhlw.go.jp/content/000711008.pdf

5.メンタルヘルスの不調を防ぐための対策

メンタルヘルスの不調を防ぐためのポイントは多岐にわたります。一般的に効果があると言われている方法を解説します。

 

1)規則正しい生活習慣

①バランスの取れた食事

・栄養バランスの取れた食事は、脳の機能を最適化し、精神的な健康を維持するために重要です。特に、オメガ-3脂肪酸やビタミンB群、抗酸化物質を含む食品がメンタルヘルスに良い影響を与えるとされています。三食のうち、朝食が特に大切を言われており、食事により内臓を動かすことで体内にある子時計がリセットされ夜の睡眠のスイッチが入ります。

体内時計は脳にもあり、親時計と言われています。脳は日光に当たることでリセットされます。

②定期的な運動習慣

・定期的な運動はエンドルフィンの分泌を促し、ストレスを軽減します。

リズム運動のウォーキングや呼吸法を取り入れたヨガなどによる有酸素運動は不安を軽減し、うつの予防に役立つことが証明されいます。

運動のゴールデンタイムは、17時から19時と言われており脳の深部体温が上がり、睡眠時間に近づくと脳の温度が下がることで良質な眠りが得られます。

 

③睡眠の確保

適正な睡眠時間は人により違いがありますが、成人は7時間前後が疾病のリスクが最も少ないと言われています。

近年の脳科学の進歩により、睡眠不足が続くと攻撃性が高くなり、ネガティブ刺激に敏感になることなどが分かっています。

睡眠不足は睡眠負債となり溜まっていきます。寝だめでは返済ができないため、日頃の規則正しい生活リズムが大切になります。

 

2)3つのR

①リラクセーション(くつろぎ)

適切に対処するために自分に合ったリラクセーション法を見つけましょう。

マインドフルネスや呼吸法、漸進的筋弛緩法などのリラクセーション法は多様です。

リラクセーション法を取り入れることで、副交感神経が有意に働き、感情の鎮静化が促進され、セロトニンの分泌が高まります。

 

②レスト(休養・睡眠)

休養にはパッシブレスト、アクティブレストの2種類があります。

何もしないでボンヤリ過ごす、とにかくぐっすり眠り疲れを取る、ダラダラ過ごすなどの休養は、消極的休養(パッシブレスト)と呼ばれています。

一方で、身体を適度に動かす有酸素運動、リズム運動などのヨガやウォーキングなどは、積極的休養(アクティブレスト)と呼ばれ、脳の疲労を軽減します。

ダラダラのんびり過ごしても疲れが取れない、返って疲れたなど感じたときには、アクティブレストを試してみます。

 

③リクリエーション(気晴らし)

趣味や好きなことに熱心に興じるなど、仕事から離れオンオフをしっかり取り入れることでストレスの軽減を図ります。

気晴らしには、芸術、音楽、鑑賞、散策、スポーツなど様ざまあります。日常から離れ、自分が没頭できる方法をいくつか持っておきます。

 

3)受援力、援助希求行動

①専門家への相談やカウンセリングなど、問題解決のための戦略として捉え活用します。

行き詰った状況から脱する機会になります。

②社会的な支援ネットワークの活用。身近な友人や家族とつながり、良好なコミュニケーションを大切にします。人との触れ合いは脳内物質のオキシトシンが分泌されます。また、自分の思いを分かち合うことで、互いの信頼関係も強化されるでしょう。

 

(1)職場環境の整備

①健康的な職場文化の促進

企業は、従業員のメンタルヘルスをサポートするためのプログラムやリソースを提供することが求められます。50人以上の企業では義務化とされたストレスチェックはもちろんのこと、メンタルヘルスに関する教育プログラムの定期的な実施が有効と言われています。

近年着目されている心理的安全性の高い職場づくりやレジリエンス力向上に取り組みましょう。

②ワークライフバランスの確保

過度な残業や仕事のプレッシャーを避け、ワークライフバランスを保つことが重要です。フレックスタイム制度やリモートワークの導入など、柔軟な働き方を推奨する企業の取り組みも増えています。

③タイムマネジメント

効率的な時間管理は、ストレスの軽減に直結します。タスクを優先順位付けし、適宜、休憩時間を取り入れることで脳疲労を軽減し作業効率を上げることができます。

④ヘルスリテラシーを高める施策

メンタルヘルスに関する教育を通じて、従業員やコミュニティメンバーがメンタルヘルスの重要性を理解し、自分や他人のサインに気づく力を養うことが重要です。学校や企業でのメンタルヘルス教育プログラムの実施が効果的です。

⑤サポートネットワークの構築

サポートグループは、共通の経験を持つ人々が集まり、互いに支え合う場です。これにより、孤独感が軽減され、メンタルヘルスの改善が期待できます。企業やコミュニティは、メンタルヘルスサポートグループの設立を支援することが重要です。

⑥相談窓口の設置

心理の専門家による相談窓口は、守秘義務が守られ安心した環境での相談が可能です。

 

(2)技術を活用して効率化

①メンタルヘルスアプリの導入

メンタルヘルスに関するアプリケーションは、手軽に利用できるサポートツールとして人気があります。これらのアプリは、瞑想ガイド、気分トラッキング、リラクゼーション技法の提供など、多様な機能を持ち、メンタルヘルスケアを日常生活に取り入れる手助けをします。

②リモートヘルスサービスの提供

遠隔地にいる人々や忙しい人々にとって、電話、オンラインを活用したメンタルヘルスは便利なオプションです。オンラインカウンセリングやリモートでのメンタルヘルス支援を提供することで、アクセスのハードルを下げ、必要なサポートを受けやすくすることができます。

 

他社のメンタルヘルス対策の代表的な取り組み事例をいくつかご紹介します。

(1)ストレスチェックの実施(50人以上の事業所では義務)

「労働安全衛生法」の改正で労働者が50人以上いる事業所では2015年12月から、毎年1回の検査が義務付けられました。

定期的なストレスチェックを実施して従業員のストレスレベルや心理的な負荷を把握します。これにより、問題が早期に発見され、適切な対策が講じられることがあります。

コロナ禍以降、設問数がこれまで一般的だった57問から80問への移行を希望される企業が増えてきており、エンゲイジメントに対する関心の高さがうかがえます。

(2)カウンセリングサービスの提供

心理カウンセリングや相談サービスの提供は、従業員がストレスや心理的な問題を抱えた際に、支援を受ける手段として有効です。企業が心理の専門家や保健師等を直接雇用する方法と、相談窓口を提供するEAPの専門企業と契約する方法があります。

(3)フレックスタイム制の導入

働き方改革の一環として、フレックスタイム制の導入が進んでいます。従業員が柔軟な勤務時間を選択できることで、仕事と介護、子育て両立、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなり、ストレスの軽減につながります。

(4)メンタルヘルス教育プログラムの実施

メンタルヘルスに関する教育プログラムを実施することで、従業員が自身のメンタルヘルスを理解し、適切なケアを行う意識を高めることができます。ストレス管理やリラックステクニックの習得などが含まれます。

(5)健康診断との統合

メンタルヘルスの側面を含む総合的な健康診断を実施することで、従業員の健康状態を総合的に把握し、適切なサポートを提供します。身体的な健康と精神的な健康を両方含めたアプローチが重視されます。

(6)ストレスマネジメントトレーニングの提供

ストレス管理や心理的なリカバリーの方法を学ぶトレーニングプログラムを提供することで、従業員がストレスに対処し、心理的な弾力性を身に付けることができます。

(7)労働環境の改善

従業員のストレスや不調の原因となる労働環境の改善も重要です。適切な休憩時間の確保や職場のコミュニケーション改善、ワークライフバランスの推進などが含まれます。

こうした対策は、それぞれの企業の風土、文化、予算、従業員数などを考慮し構築していきます。取り組みやすい施策からスタートしたり、課題の多いものから取り組みを始められたり、更に健康経営を目指すなどの目的別に選んでも良いでしょう。

どのテーマから始めるかについては、EAPなどの専門機関への相談を行い、各企業の事情を開示し、自社に合ったものを選ぶことが肝要です。

 

 

6.まとめ

メンタルヘルスは、個人の総合的な健康状態(ウェルビーイング)を指します。メンタルヘルスの維持は、個人の感情、思考、行動に大きな影響を与えるため、日常生活や人間関係、仕事などのさまざまな側面に影響を及ぼします。

メンタルヘルス対策を適切に行うことは、個人の健康や幸福感だけでなく、組織の健康と生産性を向上させ、企業の成長にも密接に関連します。企業はメンタルヘルスケアを重視し、ストレス管理や支援体制の充実を図ることが肝要です。

適切なメンタルヘルスケアの提供は、いきいきと働ける職場づくりを促進します。従業員の満足度や生産性の向上につながり、組織全体のパフォーマンスを向上させ持続可能な成功を達成できるでしょう。企業は、従業員のメンタルヘルスを大切にし、健康な労働環境を提供することが求められます。

更に近年では企業が健康経営的視点でメンタルヘルス対策に着目する企業が増加傾向となり、

従業員の心身の健康を重視する動きが広がりつつあります。
この取り組みは、企業が従業員の健康を経営資源と捉え、持続可能な成長を目指すための戦略的な施策と言えます。メンタルヘルス対策を強化することで、従業員の満足度と生産性が向上し、結果として企業全体のパフォーマンスも向上します。今後も企業は、より包括的で効果的なメンタルヘルス対策を進めていくことが期待されます。

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