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本格的な春を迎える前にラインケアの準備をしよう

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まだまだ寒い日が続きますが、各社人事異動や組織変更、新入社員の教育準備などで忙しくなるのではないでしょうか。今回は本格的な春を迎える前に準備しておきたいラインケアについて見ていきたいと思います。

新しい仲間に対するラインケア

春になると新しい社員が増えたり、これまでの仕事内容とは別の部署に異動したり、社内での人の動きが活発になります。
誰にとっても新たな環境で仕事を始めることは緊張しますし、疲労を感じるものです。期待と不安が同居している状態で、時に過剰な適応が起こったり、なかなかなじめない状態に対して、不適応感を抱くこともあるでしょう。
また、入ったばかりで周囲に親しい人が不在であったり、相談相手が見つからないなど、言いたいことがあっても発言できず、とてもストレスフルな状況に陥ることも想像に難くありません。

迎え入れる側はそうしたストレッサーになる変化を理解し、適切に関わっていくことが望ましいといえます。
そこでお勧めしたいのが、事前の心がまえと知識の再習得です。
4月になったら日々の実務に追われ、忙しい日々を過ごすこととなるでしょうから、この春の訪れを感じ始めるくらいのタイミングで、周囲の人ができるケアの基本をおさらいしておきましょう。

ラインケアとは
厚生労働省が推進する職場のメンタルヘルス対策の「4つのケア」の中、上司や先輩社員の視点から従業員を支えていくラインケアがあります。
ラインケアをする上で基本となる関わり方があります。①気づく、②声をかける、③つなぐの3つです。

①気づく
笑顔が減ってきた、言葉数が少なくなった、体調が悪そう、このように日頃と違う様子が見られたら注意が必要です。それに気づくためには日常的な観察を欠かすことなく、その人の“通常”状態を理解しておくことが大切です。
しかし、新しい人の場合はそれが難しいです。知り合ったばかりで、そもそもその人の“通常”が分かりません。過剰適応や人見知り等の理由から、本来の姿を見ることができないこともあります。そのため、声掛けの頻度を増やし、雑談の機会を設けましょう。見守る姿勢でより注意深く観察することで「気づく」ことが可能になります。

②声をかける
何かいつもと違うことに気がついたら声をかけましょう。仕事の進捗はどうであるか、労い、プロセスを褒めながら状況を確認します。もし「〇〇で困っている」などの発言があれば、サポートできることを伝え、孤立を予防します。いつでも相談に乗れることを伝え、気にかけている姿勢を示しましょう。
また、何かあった時だけでなく、日常的に短時間でも声をかけ続けることも大切です。雑談の機会を増やし、小さい会話の積み重ねを行い信頼関係を構築しましょう。
このような土壌が整っていると、何かあった際にも安心して相談できるようになります。

③つなぐ
話の内容から、具体的な不具合が確認できた際には、一人で判断する必要はありません。人事部門や産業保健スタッフなど必要なサポートを得られる人に繋ぎます。
また、当該社員に「相談の段階ではない」「他の人に話すことに抵抗がある」などの発言が見られることもあるかもしれません。そうした際には、管理職自身が社内資源のサポートを求め、助言を受けることもお勧めします。
管理職自身もサポーターを持ち、日頃のストレスの軽減につなげましょう。

コミュニケーションを大切に

コミュニケーションスキルを身に付けましょう
新入社員や若手社員、キャリア採用で入社した人たちの離職を予防するためには、コミュニケーションが重要です。
まずは、基本の挨拶を大切にします。その上で、対話力によって信頼関係を築きます。コミュニケーションスキルは性格や年齢を問わずに向上することができます。
加齢により衰えないスキルであり、誰しもが身に付けることが可能です。

挨拶は心を込めて
実際に相談室でご相談を受けた際、お聞きする中には
「挨拶をしても忙しいのか返してもらえない」
「顔をあげないし、目も合わない、無視されているように感じる」
「挨拶をしても皆黙って仕事をしている」
などがあります。

自分の声が届かないのは、寂しいものです。一度の経験でも、存在を否定されたように感じたり、孤立を感じることもあります。
こうした状況は、所属欲求や承認欲求が満たされず、不安を感じたり存在意義が揺らいだりすることがあります。特に入社間もない社員にとっては心理的な影響は大きいでしょう。

上位の立場にある人は、率先して挨拶を実施しましょう。その際、相手の名前を呼んだり、顔をあげて視線を合わせるなど、相手の存在を認めていることが伝わるような態度で応答します。
外出先から戻ったり、仕事終わりに「〇〇さん、お疲れさまでした」「今日は疲れたでしょう、ゆっくり休んでね」「お疲れさま、明日もよろしくね」など、心がこもった挨拶をすることで、相手の心に響きます。

「きく」ための3つの方法を大切に
人とのコミュニケーションを行うとき、意識的や無意識に身体の様々な部位を活用してきいています。
1.耳を使い相手の話の腰を折らず、しっかり耳で「聞く」
2.相手を見て観察し、存在を大切にし、心を寄せ、言葉に表せない思いも含めて「聴く」
3.自分の理解と相手の内容が一致しているのか、きき落としはないか、内容を正しく理解しているかを確認する、口で「訊く」
この3つの「きき方」を基本としていただけたらと思います。

尊重と思いやりをもって話し合う
部下や若手社員のスキルや仕事への姿勢は、ベテラン社員からみると「不足」や「未熟」を感じ、「到底受け入れられない」「イライラする」こともあるでしょう。
けれども、頭ごなしに否定せず、言い分や理由を尋ねることが大切です。なぜできないのか、どうしてミスが起きたのか、原因追及の言動に終始せず、どうしたらうまくいくのか、どこまでが理解の範囲なのか、何を足したらいいのか、どの様なサポートがあれば成功に近づくのか、双方で知恵を出し合う対話を大切にしましょう。

雑談の勧め
雑談とは、目的やテーマを持たず、とりとめのない内容を気楽に交わす会話のこと。
雑談が、近年の研究により、相手との心理的距離を縮め、心理的安全性や信頼関係を築くツールとして機能していることが分かりました。
更に仕事終わりの幸福度が上がったり、ストレス発散に繋がることもあるようです。
雑談が多いチームでは、報連相が活発となり本来の業務に必要なコミュニケーションも促進されます。
雑談は「無駄なもの」ではないことを理解し、職場での雑談の機会を進んで作りましょう。

本格的に春がやってくる前に知っておきたいラインケアの基本や信頼関係の構築に役立つコミュニケーションについてお伝えしました。安全配慮義務の観点からも従業員のメンタルヘルスを健康に保つことはとても大切です。ぜひ参考にしてください。

筆者:パソナセーフティネット臨床心理士、公認心理師

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