こころとからだの健康

メンタルヘルスとペット ~なぜ、人はペットに癒されるのか~

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マーケティング・リサーチを手掛ける矢野経済研究所が、2021年2月に発表した最新のペットビジネスに関する調査結果によると、2020年度のペット関連総市場規模は、前年度比3.4%増の1兆6,242億円の見込みといいます。

コロナ感染予防対策としての外出自粛や対人交流の減少で、ストレスや不安、気分の低下を感じておられる方も多いのではと思います。
そのようなときに心を回復させてくれるホルモンがあります。
オキシトシンは、「幸せホルモン」「抱擁ホルモン」「信頼ホルモン」と呼ばれ、神経伝達物質の一つです。オキシトシンは、「脳の視床下部という部位で産生され、脳下垂体に運ばれることで作用します。一番代表的な機能は、ストレスホルモンとして知られる「コルチゾール」の分泌を抑える抗ストレス作用です

麻布大学の菊水健史教授による研究によると、人と犬という、まったく違う生き物の間でオキシトシンを分泌しあい、絆を深める仕組みがあることが初めて確認されました。犬とその飼い主が互いに見つめあったときに、人の体内で脳の下垂体から「オキシトシン」というホルモンが分泌され、また人と見つめあうことで、犬の側にもオキシトシンが分泌されていることが分かりました。
人も犬も同時に癒されているのですね。

動物が人にもたらす効果は、3つに分類され、身体的、心理的、社会的に効果があるといわれています。
身体的:オキシトシンの分泌、心拍数の安定、リラックス効果 など
心理的:孤独感の軽減、幸福感の向上、気分の安定 など
社会的:人と人との繋がり、人と人との関係性を円滑にする など
があります。
最近では、これまで定番だった犬、猫、鳥、魚類に加え、ハムスター、ウサギ、ハリネズミ、フクロモモンガ、は虫類、などと飼う人の生活環境に合わせて多様化してきました。

こうしたブームに乗り、「かわいいから」「勧められたから」など安易な気持ちで購入していまい「吠えてうるさい」「言うことを聞かない」「思ったよりお金がかかる」「世話が面倒」「大きくなった」といった自分勝手な理由で飼育を放棄してしまう人が増えていると言います。
また、一方で「ペット(愛玩動物)」は,「コンパニオンアニマル(伴侶動物)」と呼ばれるようになり、犬や猫などのペットは単なる動物ではなく,人と人生を共にする仲間として認識されるようになってきた。と帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科 准教授の濱野佐代子先生は言います。
更に先生は、ペットの喪失いわゆるペットロスは,愛着対象であるペットを死別や別離で失う対象喪失の一つであり,それに伴う一連の苦痛に満ちた深い悲しみ,悲哀の心理過程の総称である(濱野, 2013)。愛情を注いで,家族の一員としてペットと暮らしている家族にとっては,ペットはかけがえのない存在であり、ペットを失った家族に対しては共感的な態度で応対する必要があると言っておられます。

ペットの購入には、ご自分の生活リズムや環境、体力、年齢など様々な条件を考慮し、親身に助言をくれる業者やブリーダーを捜しましょう。購入後は動物病院、主治医と信頼関係を築き、ペットが最期の時を迎えるまで共に過ごせるよう心がけましょう。

参考:永澤美保・菊水健史 「オキシトシンと視線との正のループによるヒトとイヌとの絆の形成」
(麻布大学獣医学部 動物応用科学科伴侶動物学研究室)https://first.lifesciencedb.jp/archives/10063
公益社団法人「日本心理学会」特集 「ペットロス─コンパニオンアニマルとの別れ」
濱野 佐代子先生

動物との絆


「人とペットの心理学」濱野 佐代子(編著)

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