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部下の育成に心理学を応用する Part6 ~フレーミング効果 エンハンシング効果~

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フレーミング効果とは

同じことを表現していても、表現方法を変えることで受け取り方がかわってくるという心理効果です。

フレーム(枠組み)を変えて別の視点で表現することをリフレーミングと言い、例えば、、
コップの中のジュースを「まだ半分も残っている」なのか、「もう半分しかない」と表現するのでは、印象が変わります。
「10回に1回は失敗する」と言われると失敗に焦点が当たりますが、「90%は上手くいく」と言われるとポジティブな視点に変わります。
また、自分の期待と違う結果が出たときにガッカリしたり、落ち込んでしまう前に、「本当に最悪な結果だろうか?」「何か良い要素や学べる要素はなかったか?」と俯瞰で捉え見方を変えることもリフレーミングです。

ある人物に対しても、見方を変えると評価が変わります。マイナスのハロー効果であるアンコンシャスバイアスの修整にも役立つでしょう。
神経質な人 ⇒ 細かなことに気が付く人
怒りっぽい人 ⇒ 感情が豊かな人
そそっかしい人 ⇒ 瞬発力がある人
印象が変わりませんか?

このように、常に別の見方や表現はないか? ポジティブな見方はないか? と思考を広げ、表現を工夫することで、ポジティブシンキングが促進されます。
自分自身はもとより、周囲への影響もプラスになることでしょう。

新入社員は、初めての組織社会化の真っただ中で、様々な不安に直面しています。時には自分自身を否定する言葉や状況不安を口にすることもあるかも知れません。こうした視点を変えるフィードバックをすることは、自己肯定感を高める助けになるでしょう。

エンハンシング効果(Enhancing effect)とは

“enhance” 「高める」「強化する」という意味の英単語をから来ています。
相手に対して、賞賛の言葉をかける。意欲ややる気を高める心理効果です。
「外発的動機付け」によって報酬を与え、相手の行動や意識づけを強化するときに活用します。

頑張ったときに上司や周囲から「労い」や「賞賛」の言葉をかけてもらうと嬉しいものです。次のステップに進む動機付けになります。
一方で、自分なりに頑張ったことを無視されたり、上手くいかなかった部分だけ取り上げられ注意を受けたりすると、一気にモチベーションが下がります。

上司のフレーミングがネガティブでは、部下のやる気は損なわれてしまいますので、リフレーミング効果やエンハンシング効果を活用し、部下のモチベーションを上げていきます。

新入営業社員のAさん
初めての提案書は通り、企業担当者と商談に漕ぎつけました。プレゼンの反応は高評価で良かったのですが、もう少しで成約という所で、ライバル会社との価格競争で負けてしまいました。

上司Bさん:「折角任せたのに、ダメだったんだ。詰めが甘かったのでは? 事前の情報とかなかったの?」
部下Aさん
「失敗してしまった。上司の評価も下がってしまった。チャンスを活かせず、気持ちが落ち込んでしまった。もう次はないかも。」

では、上司Bさんのフレームを変えてみましょう。

上司Bさん:「頑張っていたのは見ていたよ。惜しかったね。8割がたは上手くできていたから、課題点は見えているね。次回の提案や機会に活かせるよう一緒に考えていこう。お疲れさま」
するとAさんは、
「すべてが失敗ではなかった。中身に評価がもらえたし、上司も認めてくれた。次はもっと事前に情報を集めて良い提案ができるよう頑張ろう」

いかがでしょうか?
頑張った事実で「労う」努力を認め「承認する」今後については「一緒に考える」リフレーミングで視点を変え、エンハンシング効果で、次への動機づけを行います。

1オン1ミーティングやメンターメンティとの対話、また普段の何気ない会話の中でも、ぜひ実践し、リフレーミングのスキルを身につけて頂ければと思います。

 

筆者:産業カウンセラー、公認心理師

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