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部下の育成に心理学を応用する Part7 ~Z世代を理解し、育成に活かす~

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さまざまな世代が協働する社会的な背景の中、皆さまはZ世代の考え方について、どのくらい理解をされておられるでしょうか。

コラムをお読みの皆さまの世代はさまざまで、それぞれの世代により、受けてきた教育や親のしつけ、成育歴の中で培われた価値観は違いがあります。
Z世代※は、働く意識、目標、企業に求めるもの、価値観はどのようなものなのか考えてみたいと思います。
(※Z世代とは、生まれた時からスマホやネットサービスに接し、デジタルデバイスが生活の一部になっている1995〜2012年生まれの現在27歳から10歳で新入社員はこの世代にあたります。)

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)は、2021年6月28日に「VUCA×Z世代 新人育成のニューノーマルを考える」を公表しました。
この調査は、2021年度の新入社員に対し、2つの意識調査を実施し、「理想の職場や上司像」や「仕事観」など、調査結果から見える実態について考察しています。

公表されたデータによると、「働くうえで大切にしたいこと」では、2019年よりトップの 「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」が過去最高の51.5%。
「仕事・職場生活をするうえでの不安」では、「仕事についていけるか(65.7%)」、 「私生活とのバランスがとれるか(36.7%)」が過去最高に。
さらに、「身につけたい力」については、「コミュニケーション力」がトップ(60.8%)でした。

働きたい職場の特徴の調査では、2017年から4年連続、「お互いに助けあう」「アットホーム」「お互いに個性を尊重する」がトップ3になり、「お互いに鍛えあう」は過去最低の13.6%です。
上司に期待する項目でも、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」、「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」がトップ2であり、「仕事に情熱をもって取り組むこと」、「周囲を引っ張るリーダーシップ」、 「言うべきことは言い、厳しく指導すること」は減少傾向にあります。

こうしたデータから、「切磋琢磨し鍛えあう職場より、「助け合い」「尊重しあう」職場、「耳を傾け」「一人ひとり丁寧に指導する」上司を望む傾向が見受けられる」と考察しています。

仕事観については、「貢献」「成長」「やりがい」などの選択率が高く、勤続意向は、「定年まで現在の会社にこだわらない」選択肢を視野にいれている人が半数以上。
「人生100年時代」といわれる中、キャリア教育や就職活動を通して、入社前からキャリアについて 考える機会が増え、今後のキャリアへの期待や不安が表れている可能性があると考えられるとしています。

こうした新入社員・若手社員の意識の変化を把握し、これまで行ってきたお仕着せの教育や指導法を見直していく必要があることを組織や上司が理解していくことが求められます。
新入社員の組織社会化をつまづきなく促進していくために求められるものとして、組織には、個人のそれぞれのステージに応じたサポート体制の構築が求められるでしょう。
また、サポートする側の上司にもコミュニケーションスキルの向上は必須となります。

「働くうえで大切にしたいこと」のトップ項目であった「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」や「仕事についていけるか」などの不安の軽減については、コーチング、ティーチング、メンタリング、カウンセリング、フィードバックスキルが身に付いていれば、部下の状態、状況の把握が可能になり、組織社会化への立ち上がりが早まるでしょう。
部下の意欲は高いが必要とされるスキルや知識が不足しているのか、意欲も知識も低いのか、意欲は低いが業務スキルや知識は備わっているのかにより、係わりかたは当然変えていかねばなりません。

部下とのミスコミュニケーションを軽減するための上司・指導者の関わり方のポイントして、
①働く理由(モチベーション)や目的は、人によって違うことを理解
②それぞれの目的や大切にしていることを把握すること
③自分の価値観を優先したり、押し付けない
などアンコンシャスバイアスを修正することも課題となるでしょう。

こうした組織社会化のサポート、動機づけ、部下指導法、アンコンシャスバイアストレーニングについてのお問合せはこちら

筆者:産業カウンセラー 公認心理師

2022/4

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