こころとからだの健康

カスタマーハラスメントについて学ぶ

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12月はハラスメント撲滅月間
顧客企業従業員からのカスタマ―ハラスメントについて

「ウチの会社はサービス業ではないから、カスハラはあまり発生しない」というお声を耳にすることがあります。けれども実際は商取引がある企業全体でカスハラは発生しています。
下記のデータをご覧ください。

引用:令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査 報告書 80頁

令和2年度の厚労省実態調査によると、他の事業主が雇用する労働者からのカスハラは、27.7%の割合で発生しています。

企業には労働契約法第5条により、従業員に対して「安全配慮義務」が課せられていますので、企業及び事業主として適切な対応をしていない場合、被害を受けた従業員から責任を追及される場合もあります。
ですから、他の事業主が雇用する労働者からのカスハラに対しても、しっかり取り組む必要が求められます。

年々、増加傾向にあるカスハラに対して厚労省は予算をたて、令和4年2月25日に「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を公表しました。

望ましい取り組みとして
①相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
②被害者への配慮のための取り組み
③他の事業主が雇用する労働者からのパワハラやカスハラ行為による被害を防止するための取り組み
を挙げています。

事前準備として
①基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
②相談対応体制の整備
③対応方法、手順の策定
④社内対応ルールの教育・研修

実際に起きたときの対応として
⑤事実関係の正確な確認と事案への対応
⑥従業員への配慮
⑦再発防止のための取り組み
⑧①~⑦までの措置と併せて講ずべき措置
・プライバシー保護に必要な措置を講じ、周知する
・相談したことを理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、従業員へ周知
(引用:厚労省 カスタマ―ハラスメント対策マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf
があります。

行為者が雇用関係にない者が行うカスハラは、企業内で発生するハラスメントと大きな違いがあり、未然防止や行為者に対する直接的な措置が直ちに行いづらい特徴がありますので、対策には工夫が必要です。

取引企業との間でハラスメント事案のトラブルが発生したと自社の従業員から訴えを受けたときには、できるだけ速やかに、取引先企業に協力を求め、事実関係の共有や確認、防止策を講じる必要があります。

万が一、自社従業員から相談を受けた際には
①相談を受け、被害状況、事情の確認を行なう
②事実確認を行なうため、事情を知るものへの聞き取りを行う
③取引先への協力を求める
④取引先の協力を得た上で、ハラスメント行為が疑われる取引先従業員への事実確認を行なう
⑤取引先企業と今後の防止策を考える
などが求められます。

また、企業の「行動指針」として「取引先との関係」の項目を設け、自社従業員に他社従業員への接し方の注意についての周知や、発生した際の対応について教育を行うなども、発生の予防につながります。

 

ハラスメント行為は心身への影響が少なくありません。
令和2年度 厚労省職場のハラスメントに関する実態調査によると、「怒りや不安を感じた」67.6%、「仕事に対する意欲が減退した」46.2% が高いという結果が出ていますし、「何度も繰り返し経験した」労働者においては、「眠れなくなった」21.2%、「通院したり、服薬した」8.8%とう深刻な影響も確認されています。

メンタルヘルスへの影響を最小限にするためには、相談体制の整備、被害者への配慮が求められます。
ハラスメント相談を受ける際に、二次被害を起こさないためにも、担当者のメンタルヘルスへの知識、対処法など担当者教育も重要と言えるでしょう。

弊社では、窓口担当者様への研修も実施しております。
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筆者:産業カウンセラー、公認心理師

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